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北肥戦誌【1536年】

天文5年(1536年)の秋に入り、道麒は千葉興常と示し合わせ、資元を討つべく筑前を発って多久へ派兵する。
それを聞き知った塚崎の後藤、上松浦の波多・草野がこれに加勢。
9月初旬に大挙して攻め込んだ。

資元は僅かな供廻りだけであったため防ぎ戦えるべくもなく、もはや自害すべしと思い、
同月4日に専称寺に忍び入り、譜代の家人・今泉朝覚、窪、平原の三人を呼び出し、
「我ら智慮なくして一昨年敵を恐れて城原の居城を去って後、付き従う者らにも見捨てられ、勢いは微々と成り果て此処に来た。このような是非無き害に合う事は、世の宿業ながら口惜しき次第である。然れども悔いても益無し。唯々自害を急ぐべし。さても汝ら三人は多くの家人の中で今まで心を違えず付き従い嬉しい事である。必ず黄泉に入っても忘れはしない。この期に及び、(汝らは)死を共にしようと思うだろう。だが子息・冬尚は蓮池に忍んで居り、その他、幼稚の子供は佐嘉の傍に隠し置いている。汝ら三人はこの場を逃れ、彼所へ赴き子供を撫育させよ」

と申されるがは、今泉は涙ながらに
「御運既に傾き、この期に及んでは悔いても仕方ありません。そんな中、我らに落ちよと申されますが、御父・政資公御生害のとき公は九歳になられ、横岳の元に忍んで御成長された。その後、藤津へ御蟄居のときは、某が父・宗春入道と宗伊賀守ばかりが付き従いました。その身、不肖ながらも、その子としてその最期を見捨てて、何処へ逃げて誰を頼めと申されますか。皆、死出の御供こそ望んでおります」と述べる。

左右を見れば、窪・平原も共に涙に咽び、「我々も同意に候」と頭を垂れていた。
資元は重ねて申すに
「死は近くして易く、生は遠くして難し。幼稚が者共の事こそ心許ない。曲げて命を全うし、彼等を養育させよ。さもなくば七生までの勘当である」。と大いに立腹すれば、三人は主命に背く訳にいかず、涙ながらに退出した。
隔して資元は心安く思われ、専称寺の仏前に鎧脱ぎ捨て、もろ肌脱ぎ、生年48にして腹を十文字に掻き破り、桐葉落ちる夕凪の9月4日、その一生は夢となられた。法名:心月本了と申すは、この資元の事なり。

然るに今泉・窪・平原は、泣く泣く佐嘉へ赴き、亡き君主の幼子達を或る寺へ忍ばせ、住持を頼み年月を重ねていった。
三人の中でも今泉は、発心して髷を切り、66箇所を巡礼し、後に上洛して竹苑椒房・摂家・清華の方を頼ったという。これは再び少弐家を興す為の縁を求めての行為である。

資元はもはやこれまでと、同月4日に専称寺に入り自害に及んだ。
それを見届けた譜代の今泉朝覚、窪、平原の三人は、亡き君主の幼子達の世話をしながら年月を重ねていった。

道麒は九州支配を整えて、10月29日に周防に帰国、大内義隆は西国を安んじた功により大宰大弐に任じられた。
さて、資元死去を知った大友は後悔し、資元の嫡子・冬尚を世に出すべしと、龍造寺氏の嫡流・胤久と談合に及ぶ。
蓮池城主・小田覚泒(資光)も少弐再興を企図して、自らの城に冬尚を隠した。

江上尚種は「今の大内は武備廃れ、蹴鞠・和歌のみ持て囃し、栄華に満ち油断しきっており攻め時である」と述べた。
が、龍造寺家兼は同意しながらも、
「大内の武威は廃れたと雖も、公方様の覚え目出度く、朝廷の御恩厚く、陶・杉・鳰・相良ら老臣が揃い、非を諌めるに身を囲わず、軍に臨んでは命を惜しみません。義隆は事々を彼らに任せて居る為、国は治まり、民は安んじられておりますれば、まだ天の時に至って居らぬということでは御座いますまいか」。と柔らかく述べた。
皆是に納得したが、唯一人、小田覚泒のみは冬尚へ「家兼は大内へ内通と思われます」と述べ、水ヶ江城を攻めるべしと勧めた。

隔して同年冬、小田は800余騎を引率し、家兼の居城・水ヶ江城へ迫った。
家兼はこれを聞きつけ、されば半途に出迎え戦うべしと一族らを急遽動員、水ヶ江の東・木原村で戦端を開いたが打ち負け、勝ちに乗る小田勢は執拗に追い立てる。
そこへ鍋島の赤熊武者100騎が突入し先手の将一人を討ち取ると、逆に小田勢が崩壊、蓮池方面へ潰走し始める。
龍造寺・鍋島勢は蓮池城下まで追い縋り、首級数十を討ち取って水ヶ江城へ戻った。

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