FC2ブログ

感想④--『竜造寺家臣団の構成とその特質(天正八年の着到帳の分析を中心として)_藤野保』

龍造寺一門を除く上層部家臣団の構成においては、外様家臣が優位を占めていた。

龍造寺隆信は東肥前平定の段階で有力領主を上層家臣団に編入。
同時に彼らの被官衆を大量に中層家臣団に組み入れることによって、勢力を飛躍的に拡大した。


てことで論文添付の一覧表を見て意外と成程~なところ。
龍造寺一門は別格として、次の上位が江上・田尻・後藤なのは、まぁ想定内。
特に江上と後藤は、龍造寺が一族送り込んで家督を頂いてるから^^/

で、その次に馬場氏一族5名が来てるのが、ちょっとビックリ。
馬場氏TOPが龍造寺抹殺を目論んで討たれた馬場頼周の孫・馬場鑑周の700町。
鍋島直茂の530町より多かった。

こういうところって、豊臣秀吉が、かつての敵をガンガン取り込んだのと似てます。
いちいち敵を擦り潰してたんじゃ時間がかかるし、敵側領民の恨みを買って統治に手間がかかるから。

<執政体制の変化>
天文22---(固定)小川信安・納富道周+(譜代)江副久吉・福地信重+(与賀)家親
天正8年・・・・隆信隠居
新執政----(固定)小川信俊・納富家理+(外様新参)土肥信安+(水ヶ江)信周(村中)家就


小川と納富は世代交代しても宿老として固定。
譜代が抜けて外様新参の土肥を入れてバランスをとる。

一方で江上・神代・後藤(塚崎)などの新参の有力領主が入っていないということ。
シオ推測、おそらく隆信は権限が彼等に集中するの恐れたと思う。
なぜなら江上衆、神代衆、塚崎衆は地域別の衆構成で、まんま龍造寺軍団における主力戦闘部隊だからです。
政治と軍事で権限(功績)を分散するのは、どの世界でも誰に教わるでもなくやってる普通のバランス感覚だから。

隆信の弟・須古の信周が宿老になるのは、隆信隠居後の新体制になってから
龍造寺一門のうち胤家系の諸氏の多くは須古に移り、
代わって水ヶ江龍造寺家の執政参加が実現する。


与賀の家親が死ぬのは天正3年なので、家親が抜けた宿老は空いたままだった可能性が高い。
(家親の嫡男が継いだという記録がない)
おそらく龍造寺隆信は、自分の実家である水ヶ江を執政中枢に入れるタイミングを計ってたのだろう。




この論文の初出は1978年なので、今山合戦への評価は最新研究では変化してると思うので、ここでの詳細は省きました。

それ以外の本旨である配分帳に対する分析は素晴らしく、とてもとても勉強になりました。
論文の構成力、簡潔かつ要点をはずさない表現力。
添付されたデータに対する緻密なリサーチ。

まるで鍛えられたアスリートの無駄のない筋肉を見ているようで美しい(←?)
幾度も幾度も読み返し堪能したです~~(人´∀`).☆.。.:*・
藤野先生ありがとうございました。今後の研究に生かしますm(__)m
スポンサーサイト



テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメントの投稿

非公開コメント

Re: 龍造寺って

> (それでも紹運様の事は許さん)

紹運は家臣。肥前くまもんは組織のトップ。
頑張るベクトルが違うので仕方ないのです(´・д・`)
でも紹運は理想の家臣ですよね^^好き♪

> 研究、頑張ってるのですねー。すごいなー。ほんとにすごいなー。

勢いばっかで全然進んでない(´・д・`)
でも続けますよ~
こちらこそありがとうございますm(__)m

龍造寺って

こんばんは。いつもお世話になっております。
佐賀に行ったとき、予想外に地味な龍造寺さんちのあれこれに驚いたのですが、庶民にはわからないところで苦心惨憺というか、ギリギリのところで頑張ってたのですね。(それでも紹運様の事は許さん)

研究、頑張ってるのですねー。すごいなー。ほんとにすごいなー。

Re: これぞ九州の下克上

そうですね。

勢力基盤は、どうしても弱くなります。
次世代の体制がシッカリしていれば問題ないと思ったかも。

あと自分の寿命(体力)に自信あったんじゃないかしら^^

これぞ九州の下克上

を体現した一代の英傑らしい体制なのでしょうな。良くも悪しくも。

肥前の一国人の、それも分家である以上、どうしても大量の外様を取り込まないと勢力の拡大は望めない。
ゆえに政権の基盤が不安定で脆弱なものとなってしまうのは避けられない宿命なのでせう。

とはいえ耳川の時点で隆信公は数え年50。
いつ寿命を迎えるか分からぬ状況となれば、政権の安定よりも飛躍の機会を掴むことを優先したのやもしれませぬ。
プロフィール

時乃★栞

Author:時乃★栞
筑前・筑後・肥前・肥後・日向・大隅・薩摩に気合いバリバリ。
豊前は城井と長野が少し。豊後はキング大友関連のみ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
779位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
歴史
122位
アクセスランキングを見る>>
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR